英語学習者の方で、将来翻訳者になりたいと考えている方はたくさんいると思いますが、翻訳者になるにはどうしたらいいかわからないという方も多いと思います。
私自身、英語ができるから、英語力を活かして翻訳者になろうかな…とぼんやりと考えていましたが、最初は一体何から始めたらいいのか全くわかりませんでした。
今回は、翻訳者になりたいけど、どうしたらなれるのか分からないという方のために翻訳者になるにはどんな翻訳検定を取るべきなのか、どういう流れで翻訳者になるのか紹介します。
この記事を読んだら分かること
Contents
翻訳者になるのに必要な能力
翻訳者=高い英語力があればなれる、とぼんやりしたイメージを抱いている方は多いと思いますが、実際に翻訳者になるには
などが必要になります。 翻訳者と聞くと、英語力が大事だと思う方はたくさんいると思いますが、それ以上に翻訳者になる上で大事な能力がいくつもあります。
翻訳者になるには、まず日本語力が必要不可欠です。
英語ができるだけでは、文章を自然な日本語に直すことはできません。日本語力があってこそ、日本語に翻訳する言語の微妙なニュアンスが伝えられるのです。
従って、翻訳者を目指すなら英語力だけでなく、日本語力も磨く必要が出てきます。
普段から日本語の文章を書いたり、あらゆる分野の文章を読むように努めましょう。
TOEIC900点以上なら翻訳の仕事取るのも余裕でしょ?と言われることはたくさんありますが、900点持っている方はTwitterを見ても山のようにいますし、例え海外経験あっても翻訳の仕事を取る上では役立ちません。
翻訳者に求められているのは、華やかな経歴ではなく、 高い英語力は大前提として地道に積み上げた実績や、正確に日本語と英語を操り、上手く文章として書き出す能力、膨大な情報の中から翻訳する時に必要なものを選び出すスキルです。
それがあることを証明する翻訳の資格を所持していると尚いいでしょう。
翻訳者になる方法
翻訳者を目指す方法はいくつかありますが、代表的なものをいくつか紹介したいと思います。
①翻訳業務を行なっている会社に就職する
翻訳専門会社に就職するのがいちばんの近道ですが、求人数そのものが少ないためそう簡単に雇ってもらうことはできません。
そのため、翻訳専門会社に応募する前に実績や翻訳の資格に合格して、ある程度の実力を身につける必要があります。
②翻訳者の資格を取って、翻訳の仕事を紹介してもらう
ほんやく検定2級や1級、TQEなどの翻訳資格に通ると、翻訳会社に翻訳者として登録されるため翻訳の仕事を受注することも可能です。
フリーランスとして翻訳会社で働く時に、トライアルと言われる審査を受ける必要がありますが資格を持っているとトライアルを受ける時に有利です。
③フリーランスサイトなどで地道に実績を積んで、繋がりのある方に翻訳の仕事を定期的に回してもらう
フリーランスのサイトで地道に翻訳の仕事を受け続け、実績を積んで企業側から直接翻訳の仕事を受注することもできます。
ただ、まずそもそも最初に実績がないと翻訳の仕事を受注するのは至難の技です。
(運よく仕事をいただける時もありますが、やはり多くの場合落選します) 従って、実力を証明することができる資格を先に取ってしまった方が無難です。
④貿易会社などで翻訳の仕事を担当して経験を積んだ後、翻訳専門の会社の採用試験を受けて独立する
実際に貿易会社や海外との取引を行っている会社に努めながら、実際に翻訳の経験を積んで実績を残し、翻訳会社で仕事を受注するのが最短で実力を上げることができるルートだと思います。
この中で一番おすすめの方法はは②、④ですね。
翻訳者になるのに取っておいた方がいい資格
当然資格があった方が翻訳の仕事を受注する上で有利になります。
フリーランスサイトなどでも一つの翻訳の仕事に対して、数十人の方が応募していることは普通です。
そんな中で、仕事を勝ち取るにはアピールポイントになる翻訳の資格や実績経験が必要不可欠です。
翻訳者を目指したいと考えている方のために、受けた方がいい資格をいくつかご紹介したいと思います。
翻訳者を目指している方におすすめの資格
- JTA公認翻訳専門資格基礎試験
- JTA公認翻訳専門資格試験
- JTFほんやく検定
- TQE

翻訳者を目指している方でなくても、受けることで英語の勉強になるので、お金に余裕がある方は試しに受けてみてもいいと思います。
また、資格を取ることで、直接会社側翻訳の仕事を受注できることもあります。
JTFほんやく検定
JTFほんやく検定は、受験者の翻訳の実力を測ることを目的として実施されている試験です。
毎年1月と7月に試験があります。在宅でパソコンで受けることができ、受験者の方は家の参考書や辞書などを見ながら問題を解くことができます。 試験のレベルは、基礎レベルと実用レベルに分かれています。
基礎レベルには、4級と5級があり、それぞれ問題が分かれています。試験の出来によって合否が決まります。
4級や5級と聞くと、てっきり英検4級や5級をイメージしてごくごく簡単な英語の翻訳をイメージされる方が多いと思いますが、英検1級から準1級レベルの難しめの文章が出てきます。(実際にJTFほんやく検定の公式問題集を購入してみてみれば分かります)

実用レベルは、以下の6分野の中から1分野を選んでその分野の問題の翻訳をします。
理系の方は、科学技術や医学・薬学、文系の方は他の分野を選ぶようにするといいでしょう。
文系の方が理系分野のほんやく検定に合格するのはかなり難しく、やはり英語力だけでは試験に太刀打ちできないのがお分かりになると思います。
ほんやく検定実用レベルで受ける必要がある科目
- 政経・社会
- 科学技術
- 金融・証券
- 医学・薬学
- 情報処理
実用レベルは、翻訳のレベルによって、1~3級、不合格に判定されます。
2級以上に合格するのはかなり難しく、合格率はおよそ5%前後だと言われています。
合格するまでに、最低でも2、3年ぐらいの時間がかかると言われているので、十分に準備をしてから受けるのがいいでしょう。
フリーランスとして翻訳会社に在籍して働こうとした時に、トライアルという技能審査を受ける必要が出てきますがほんやく検定はトライアルの代わりになります。
JTA公認翻訳専門職資格基礎試験
JTA公認翻訳専門資格試験の基礎バージョンと言える試験です。
翻訳者を目指し始めたばかりの方で、基本的な英語力があるか試したいという方におすすめの翻訳検定です。
英日翻訳の問題が1~5問まで出題され、英文リライトの問題が6~8問まで出題されます。JTAメンバースもしくは学生の方は、3,300円で試験を受けることができるので、翻訳スキルがどれぐらいか試したいという方は是非受けてみましょう。
(JTAメンバースとは、JTA公認翻訳専門職を目指している方が参加するグループです。 JTAメンバースに登録すると、翻訳関連の情報や、JTA 公認 翻訳専門職の認定者になることができるようなサポートを受けることができます。)
JTA公認翻訳専門資格試験
JTA公認翻訳専門資格試験は、4科目から構成されている本格的な翻訳試験です。英語と中国語の二科目から選ぶことができます。 英語部門の試験は、以下の4試験あり1日で同時に全てを受けます。
- 翻訳文法技能試験
- 翻訳IT技能試験
- 翻訳マネジメント技能試験
- 翻訳専門技能試験(自由に複数の試験科目の中から好きなものを選んで受験できます)
JTA公認翻訳専門職として認定されるには、4科目全てに合格し、二次審査に通過する必要があります。
(翻訳経験が2年以上ないと二次審査に通過できません)
4科目全て8割以上得点しないと合格できませんし問題そのものも難しいので初心者の方には相当ハードルが高いと思いますが、それだけにやりがいのある試験だと言えるでしょう。
TQE 翻訳実務検定
TQE(翻訳実務検定)は最大級の翻訳会社であるサン・フレアが提供している翻訳検定試験です。
オンラインで受けることができます。
合格すれば、正式に「翻訳実務士」に認定されサンフレアに翻訳者として登録することができます。
サンフレアが経営するサンフレアアカデミーでは、実際に活躍する翻訳者になるための通信講座を受ける事も可能です。
オンラインで翻訳の試験問題を受け、解答をアップロードして提出する方式です。
受験期間内(5日間)であれば、何度でも解答に訂正して提出し直すことが可能です。受験者の方に実際に翻訳のお仕事をに任せることができるか、数名で評価をします。
成績発表日にスコアや、講評、訳例などをダウンロードすることができるので、自分の翻訳のレベルがどの程度なのか知ることができます。
受験資格は必要なく、回数制限はありません。
まとめ
今回は、いくつか翻訳者を目指す方法と、翻訳に関係する資格を紹介させていただきました。
翻訳者はすぐになれるものではありませんが、地道に翻訳を続けていれば、次第に実力がついてきて専門的なお仕事を受けられるようになってきます。
結果が出ないからといってすぐに諦めずに、コツコツ勉強を続けることが大事です。